‘’Tennis Tactics Data‘’ノバク・ジョコビッチの戦術を分析・考察

ノバク・ジョコビッチはセルビア出身のプロテニスプレーヤー。

テニス界ではBIG4・絶対王者と謳われる無類の強さを誇ったトッププレーヤーである。

2023年1月時点でラファエル・ナダルと並ぶ歴代最多タイのグランドスラム制覇を成し遂げている。

自己最高世界ランキングは1位で、長きに渡り1位の座を守り続けてきた。

コロナ禍で出場できる大会に限りがあったものの出場可能な大会で安定した成績を収めTOP10を維持。

そして、2022年ATPツアーファイナルでは優勝を飾り、2023年シーズン最初のグランドスラムである全豪オープン(AO)で優勝を飾り世界1位の座へ返り咲いた。

そんなノバク・ジョコビッチの強さ・プレースタイルについての世間一般的なイメージはこうだ。

世間一般的なイメージ

『ミスの非常に少ないストロークと鉄壁の守備』

  • コート後方から一撃で決めるようなスーパーショットはあまり使わない
  • 常に質の良いショットを正確に打ち続ける
  • ストローク戦では、まず負けない

他のBIG4であるロジャー・フェデラー ラファエル・ナダル。

加えてダークホースのスタン・ワウリンカ等と比べると、これといって目立った武器はない。

BIG4が揃っていた当時は

『至って普通でつまらないテニス』

と言われていた。

しかし、近年のノバク・ジョコビッチ精密機械のようなコントロール抜群のコートカバー力に磨きがかかって『攻守万能の絶対王者』というイメージに変わってきた。

『相手があれだけ攻めているのに何故決まらないんだ。』

『あれだけ走り回って疲れているはずなのに何故ミスが少ないんだ。』

『昔に比べて攻撃するプレーが増えてきたように感じる。』

守備一辺倒のように感じていたノバク・ジョコビッチのスタイルに攻撃力が加わって、益々手が付けられない絶対王者の風格を纏いだした。

今や

ジョコビッチを倒せる選手は出てくるのか?
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そんな感じになっている。

ジョコビッチの戦術

2023年全豪オープン決勝で攻撃的なスタイルかつ絶好調のステファノス・チチパスは、何故ノバク・ジョコビッチにストレートで敗れたのか。

その答えはノバク・ジョコビッチの戦術にある。

ジョコビッチは第1セットで競る事が多い。

普通に考えたら『競るのは互角の証拠』という事になるだろう。

特にタイブレークに突入した時は、そのセットはどちらが取ってもおかしくないはずだ。

それでも、ジョコビッチがタイブレークを落とす確率は極めて低い。

その理由は、綿密(めんみつ)に練られたゲームメイクである。

緻密な計算が土壇場で活きるように組み立て、徐々に相手を追い詰めているのだ。

1st:序盤で相手のプレーを引き出す

『相手のやりたいプレーを敢えて引き出す』

序盤のジョコビッチは守備から入る傾向が多い。

出足が悪いというわけではなく、敢えて相手の土俵で戦っているようにみえる。

相手の全力の攻めを真っ向から受け止め『ここまでしないと決まらない』という印象を付ける。

更に、相手の体力に余裕があるうちに引き出すことで、土壇場でも成功すると思わせる事が出来る。

体力が少なくなってきた頃に同じ感覚で打てるということはまず無いだろう。

タイブレークの取得率が高いのは、この戦術故なのかもしれない。

2nd:精密機械のような攻撃

『精密機械のようなコントロールで精神的にも追い込む』

安定感のあるコントロールショットは、1発の強力なショットよりも脅威だ。

コントロールショットは低リスクな分、単純なミスも期待出来ない。

展開されたらまず抜け出す事は出来ないだろう。

それがプレッシャーになって、相手は『リスクを下げる』という選択が出来ないようになる。

守りを捨てて攻めに転じるしかないわけだ。

元々攻め一択の選手であっても、常に攻めの状態を維持する事は難しい。

特にジョコビッチのような守備と安定感が半端ない選手を相手にする場合は、いつも以上に厳しいコース・早いタイミングで攻めなければ打ち抜けないだろう。

『この攻撃をさせまい』と常にいつも以上のプレーを要求されるため、対戦相手は精神的にもかなりキツイのだと想像出来る。

3rd:攻撃を誘導して逆襲

『相手の最大の武器に的を絞る』

相手が持っている最大の攻撃に狙いを定めて、形勢逆転の一手《カウンター》を狙う。

予想外のタイミングで、それをやられると決められてしまう可能性がある。

そのため、あえて打ちやすい状況を作って、そこに的を絞って《カウンター》を入れていく。

自信を持って打った1番の武器を真っ向からやられるとメンタル的には大ダメージだ。

そうなると精度よりも威力をあげようとしてミスに繋がる。

序盤上手くいっていた事もあってこの逆転はメンタルに響いて来るだろう。

4th:相手が嫌がる配球をする

『相手が嫌がる球を使い分ける事が出来る』

相手が自分のペースに乗ってこない場合は戦い方を変える。

  • 相手が打たれて嫌そうなコース
  • 相手がされて嫌だと思う配球

これを状況に応じて使い分けている。

スリーセット・ファイブセットもあれば、試合が長引けば慣れてくる相手もいる。

そういう場合の臨機応変な戦い方もジョコビッチの強さだ。

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